緑内障について
眼圧(眼の内圧:眼球を球状の保つための圧力)が高い状態が続くと視神経がだんだん傷んで視野が狭くなり最後には視力も失われる病気です。
最近は眼圧が正常でも同じような障害を起こす正常眼圧緑内障というタイプが日本人に多いことが判ってきました。
眼圧だけが原因ではないようですが、今のところはっきりした原因があるのは、高齢者にみられる急性閉塞隅角緑内障(角膜と虹彩の境が急にふさがる)や外傷によるもの、ぶどう膜炎等の炎症によるものです。
私は東京女子医大の眼科外来で、血液透析患者の眼底を拝見することがありますが、それまで眼底出血を起こしたことがないのに視神経繊維層欠損という緑内障に見られる変化を生じている方がいて、緑内障の発症進行に循環障害が大きく関与しているのではないかと考えております。
この病気のやっかいなのは自覚症状が出るのがかなり進行してからということです。人によっては片目が見えなくなって来院したということもあります。
中年以降に増える病気なので成人病検診を受ける年齢になったら眼科でも定期検査を受けていただきたいと思います。
現在日本の失明原因の第1位となっています。治療は眼圧を下げる点眼薬を使います。(正常眼圧緑内障でも眼圧を下げるほうが良いといわれています)
視神経保護のためビタミン剤や循環改善薬を併用することもあります。
薬物療法で眼圧が十分に下がらない場合手術を実施します。ただし白内障の場合と違い視機能を向上することはできません。
失われた機能は元に戻らないので、緑内障と診断されたら眼科医の指示をきちんと守ってください。
加藤昌久 加藤医院々長
日本医科大学卒業
医学博士 眼科専門医
元東京女子医大講師